浄水器の仕組みとは?活性炭・中空糸膜・RO膜の違いをメーカーが解説

浄水器の仕組みとは?活性炭・中空糸膜・イオン交換樹脂・RO膜の違いをメーカーが解説

水まわりメーカーが解説

家庭用浄水器は、水道水をフィルターに通し、吸着・ろ過・イオン交換などの働きを利用して対象物質を低減する製品です。このページでは、浄水器の基本的な水の流れ、主なろ材の違い、ミネラルとの関係、据置型・アンダーシンク型の仕組み、水生活製作所の「磨水Ⅳ」「磨水5」が採用する活性炭フィルターの構造まで解説します。

日本の水道水は法令に基づく水質基準により管理されています。一方で、残留塩素による味やにおい、PFASの一種であるPFOS・PFOAなど、特定の物質をさらに低減したい方などに家庭用浄水器が利用されています。ただし、浄水器はすべて同じ仕組みではありません。採用するフィルターやろ材の組み合わせによって、得意とする対象物質や水の性質が異なります。

このページの結論

家庭用浄水器の性能は、設置方式や「中空糸膜」「活性炭」などのろ材の名称だけでなく、どのろ材を、どのような構造・量で使用しているかによって決まります。活性炭は残留塩素の分解や一部の有機化合物を吸着し、中空糸膜は微粒子の物理的ろ過を得意とします。一方で、圧縮成形した活性炭や微細なろ過層を組み合わせることで、中空糸膜を使用せずに微粒子を捕捉する製品もあります。イオン交換樹脂は特定のイオンを交換し、RO膜は水に溶けた成分を幅広く低減します。

そのため、浄水器を比較するときは、ろ材の種類だけでなく、製品ごとのフィルター構造と実際の除去試験結果を確認することが重要です。

1浄水器が水をきれいにする基本的な仕組み

家庭用浄水器では、水道の圧力によって水がフィルター内部を通過します。水がろ材と接触する間に、化学物質の吸着、粒子のろ過、イオン交換などが行われ、処理された水が浄水として出てきます。

STEP 1

水道水が入る

水道の圧力で水が浄水器本体へ送られます。

STEP 2

大きな粒子を捕捉

前処理用フィルターや不織布などでサビや濁りなどの比較的大きな粒子を減らします。

STEP 3

ろ材へ接触

活性炭や膜など、製品ごとのろ材を水が通過します。

STEP 4

吸着・ろ過

対象物質が吸着されたり、細孔や膜によって捕捉されたりします。

STEP 5

浄水として出る

処理された水が蛇口や浄水用の吐水口から供給されます。

水の勢いとフィルターの関係

  • ・水が速く通りすぎると、ろ材との接触時間が短くなります。
  • ・一方で細かいろ過層や大容量のろ材は、水の抵抗になり流量へ影響する場合があります。
  • ・そのため浄水器は、除去性能・流量・本体サイズ・交換寿命のバランスを考えて設計されています。

2主なフィルター・ろ材の種類と役割

家庭用浄水器で使われる代表的なろ材には、活性炭、中空糸膜、イオン交換樹脂、RO膜などがあります。1種類だけを使用する製品もあれば、複数のろ材を組み合わせる製品もあります。

活性炭|物質を吸着・化学反応でろ過する

活性炭の仕組みイメージ図
【図】活性炭の仕組みイメージ図

活性炭には非常に多くの微細な孔があります。水が通過すると、においの原因となる物質、一部の有機化合物などが活性炭表面へ吸着されます。また、化学反応により残留塩素を分解します。

  • 主な役割:吸着・化学反応
  • 除去対象の例:残留塩素、トリハロメタン、カビ臭原因物質、一部の農薬・有機化合物など
  • 特徴:水に溶けたミネラルは除去しない
  • 注意点:吸着できる量には限界があるため交換が必要

活性炭フィルターはすべて同じ構造ではありません。粒状活性炭のほか、活性炭を圧縮成形したブロック状のフィルターなどもあり、フィルターの成形方法や微細孔、組み合わせるろ過層によっては、吸着だけでなく微粒子の物理的な捕捉も行います。

PFOS・PFOAを低減できる活性炭フィルターもありますが、活性炭を使っているだけで自動的に対応するわけではありません。製品ごとの試験結果を確認してください。

中空糸膜|細い孔で粒子を物理的にろ過する

中空糸膜の仕組みイメージ図
【図】中空糸膜の仕組みイメージ図

中空糸膜は、ストロー状の細い繊維に微細な孔を設けた膜です。水を膜へ通すことで、濁りや粒子など、孔より大きい物質を物理的に捕捉します。

  • 主な役割:物理ろ過
  • 除去対象の例:濁り、サビ、微粒子など
  • 特徴:水に溶けたミネラルは除去しない
  • 注意点:膜の孔径や構造によって性能が異なる

中空糸膜は粒子のろ過に強い一方、残留塩素や有機化合物の吸着には活性炭などを組み合わせる製品が一般的です。

中空糸膜は粒子の物理ろ過を得意とする方式ですが、中空糸膜を使用していない浄水器が、必ずしも微粒子の除去に弱いという意味ではありません。圧縮成形活性炭やマイクロろ過層など、別の構造で粒子を捕捉する製品もあります。

イオン交換樹脂|特定のイオンを別のイオンへ交換する

イオン交換樹脂の仕組みイメージ図
【図】イオン交換樹脂の仕組みイメージ図

イオン交換樹脂は、水中の特定のイオンを樹脂が持つ別のイオンと交換するろ材です。軟水化や特定金属の低減など、目的に応じた樹脂が使われます。

  • 主な役割:イオン交換
  • 除去対象の例:カルシウム・マグネシウム、一部の金属イオンなど
  • 特徴:目的に合わせた選択的な処理が可能
  • 注意点:樹脂の種類によって対象物質が異なる

RO膜|水に溶けた成分を幅広く低減する

RO膜の仕組みイメージ図
【図】RO膜の仕組みイメージ図

RO膜は逆浸透膜とも呼ばれ、圧力をかけて水を非常に細かな膜へ通します。水分子に比べて大きい溶解成分を幅広く低減できる方式です。

  • 主な役割:膜分離
  • 除去対象の例:溶解性物質を含む幅広い成分
  • 特徴:高い分離性能を持つ
  • 注意点:ミネラルも低減し、排水・電源・タンクなどが必要な製品もある

3除去できるもの・残るものは仕組みによって違う

家庭用浄水器に使われるろ材は、ろ材ごとに得意な処理は異なります。下表は一般的な傾向であり、実際の性能は製品の構造、ろ材量、試験条件、交換時期等によって異なります。

比較項目活性炭中空糸膜イオン交換樹脂RO膜
主な原理吸着物理ろ過イオン交換膜分離
残留塩素得意単体では対象外樹脂による製品構成による
濁り・微粒子構造による得意単体では対象外低減可能
PFOS・PFOA試験済み製品あり単体性能を要確認樹脂による対応製品あり
ミネラル除去しない除去しない対象イオンは変化幅広く低減
確認したい点ろ材量、成形方法、総ろ過水量孔径、膜面積、活性炭との併用樹脂の種類と対象物質排水、造水速度、電源、タンク

※表は各方式の一般的な傾向です。「除去できる/できない」は方式だけでは判断できません。中空糸膜は微粒子の物理ろ過を得意としますが、中空糸膜を使用していない浄水器が、必ずしも微粒子の除去に弱いという意味ではありません。 圧縮成形活性炭やマイクロろ過層などで微粒子を捕捉する製品もあるため、製品ごとのフィルター構造と試験結果をご確認ください。

ミネラルを残すとは?

  • ・カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは、水にイオンとして溶けています。
  • ・一般的な活性炭や中空糸膜では、多くのミネラルはフィルターを通過します。
  • ・そのため、水本来のまろやかな風味を保ちやすく、お茶やコーヒー、料理にも適しています。
  • ・RO膜や一部のイオン交換処理では、ミネラルも低減または変化します。

4据置型・アンダーシンク型の水の流れと浄水の仕組み

据置型とアンダーシンク型では、水の取り込み方と本体の設置位置が異なります。ただし、実際に水をきれいにする原理は、搭載されているフィルターによって決まります。

据置型浄水器の水の流れ

据置型浄水器の水の流れ※図は切替コックを使用して設置した例

※図は切替コックを使用して設置した例です。

蛇口先端へ切替コックを取付け、もしくは分岐栓等を使用して水道水をシンク上の浄水器本体へ送ります。フィルターを通過した浄水は、本体に付属する浄水の吐水口から出ます。

  • ・対応する水栓なら工事不要で設置できる
  • ・浄水器本体をシンク上に置く
  • ・切替コックで原水と浄水を使い分ける(コックで取付ける場合)

アンダーシンク型浄水器の水の流れ

アンダーシンク型浄水器の水の流れ※専用水栓を設置した例

※図は専用水栓を設置した例です。

水道配管から分岐した水をシンク下の浄水器本体へ送り、フィルターを通した後、浄水専用水栓または兼用水栓から供給します。

  • ・本体をシンク下へ収納できる
  • ・シンク上をすっきり使いやすい
  • ・新規設置には配管接続や水栓設置などの工事が必要

水をフィルターへ送るための部品の役割

浄水器は、水道水をフィルターへ送り、処理した浄水を取り出すための水路が必要です。そのため、設置方式に応じて切替コック、分岐栓、浄水専用水栓、浄水器兼用水栓などを使用します。

据置型の切替コック・分岐栓

切替コックと分岐栓

切替コックは蛇口先端に取り付け、原水ストレート・原水シャワー・浄水を切り替える部品です。浄水モードにするとホースを通って浄水器へ水が送られます。蛇口先端へ取り付けできない場合は、分岐栓などを設置して浄水器へ水を送る方法もあります。

アンダーシンク型の専用水栓・兼用水栓

専用水栓と兼用水栓

浄水専用水栓は、浄水だけを出すための水栓です。浄水器兼用水栓は、1つの水栓で水道水と浄水を使い分けます。いずれもシンク下の浄水器から配管を通して浄水を供給します。

5水生活製作所「磨水シリーズ」の除去の仕組み

水生活製作所の家庭用浄水器「磨水Ⅳ」と「磨水5」は、いずれも活性炭を中心としたフィルターを採用しています。中空糸膜は使用していません。ろ材の構造と層数を製品ごとに設計し、対象物質の吸着・捕捉と、活性炭粉末の流出防止を行っています。

4層の圧縮固形活性炭フィルター

磨水Ⅳのフィルター構造

磨水Ⅳのフィルター構造

磨水Ⅳは、4層からなる圧縮固形活性炭フィルターを採用しています。静電気による吸着、活性炭による化学反応や吸着、微細孔によるろ過、仕上げろ過を組み合わせた構造です。

磨水Ⅳは中空糸膜を使用していませんが、圧縮固形活性炭とマイクロろ過層などを組み合わせた構造により、化学物質の吸着だけでなく微粒子の捕捉も行います。

中空糸膜を使わない磨水Ⅳの微粒子除去性能

  • 0.5μmの微粒子:99%以上低減
  • クリプトスポリジウム等の原虫:99.95%低減
1

静電気の吸着層

機械的なろ過では捕捉しにくい、マイナス電荷をもつバクテリアや超微粒子を、静電気の力を利用して吸着します。

2

圧縮成形活性炭層

残留塩素やトリハロメタンなどの化学物質、有機化合物を活性炭の細孔へ吸着します。

3

圧縮成形活性炭マイクロろ過層

多重な活性炭からなる、0.5μm以下の複雑な微細孔を持つろ過層です。微粒子を捕捉しながら、水を次の層へ通します。

4

ポリエチレンマイクロろ過層

ポリエチレン繊維を固めた仕上げのマイクロろ過層です。活性炭微粉末が浄水側へ流出することを防ぎます。

磨水Ⅳの特徴

  • PFASの一種であるPFOS・PFOAの除去を第三者試験で確認しています。
  • ・PFOS・PFOAを含む合計100項目に対応した高性能モデルです。
  • ・フィルターに銀・界面活性剤等の抗菌剤不使用です。
  • ・据置型・アンダーシンク型の両方のご用意がございます。
  • 0.5μmの微粒子を99%以上低減する性能を確認しています。
活性炭を中心とした3層構造

磨水5のフィルター構造

磨水5のフィルター構造

磨水5は、不織布・活性炭・ポリエチレンろ過層からなる構造です。大きなゴミを前段で取り除き、活性炭で対象物質を吸着し、最後に活性炭粉末の流出を防ぎます。

1

不織布層

水中の鉄、サビなど、比較的大きなゴミや粒子を取り除きます。

2

活性炭層

残留塩素やトリハロメタンなどの対象物質、有機化合物を吸着します。濁り、カビ臭の原因となる2-MIB、農薬のCATにも対応します。

3

ポリエチレンろ過層

ポリエチレン繊維を固めた仕上げろ過層です。活性炭粉末が浄水側へ流出することを防ぎます。

磨水5の特徴

  • PFASの一種であるPFOS・PFOAの除去を第三者試験で確認しています。
  • ・約2年交換目安のフィルターで、交換回数を抑えたい方に適しています。
  • ・アンダーシンク型のため、シンク上をすっきり使えます。

6フィルターが劣化する仕組みと交換タイミング

浄水器のフィルターは、使用するほど対象物質を内部へ蓄積します。見た目がきれいでも、吸着容量やろ過性能には限りがあるため、定められた交換時期を守る必要があります。

活性炭の吸着容量が減る

活性炭の細孔が吸着した物質で埋まると、新たな物質を吸着できる余地が少なくなります。

ろ過層へ汚れが蓄積する

サビ、濁り、微粒子などが蓄積すると、水の通り道が狭くなり流量が低下することがあります。

使用量と期間の両方が影響する

使用水量が少なくても長期間使用した場合は衛生面への配慮が必要です。メーカー指定の期間または使用量の早い方を目安にします。

交換時期の目安

  • 磨水Ⅳ:約12か月(1日8L使用の場合)
  • 磨水5:約24か月(1日13.7L使用の場合)
  • ※水質、使用量、使用環境等により交換時期は変わる場合があります。

磨水Ⅳでは、除去率95%以上を維持できる総ろ過流量3,000Lを、フィルター交換の目安としています。一般的な基準よりも厳しい条件で寿命を設定することで、交換時期まで高い除去性能を保ちやすい設計です。

交換フィルターを忘れずに続けるために

浄水性能を保つには、適切な時期にフィルターを交換することが重要です。MIZSEI SHOPでは、交換用フィルターと継続購入に関するご案内をご用意しています。

7浄水器の仕組みについてよくある質問

浄水器はどのような仕組みで水をきれいにしますか?

水道水をフィルターに通し、活性炭による吸着・化学反応、膜によるろ過、イオン交換などを利用して対象物質を低減します。採用するろ材や組み合わせは製品によって異なります。

活性炭は何を除去しますか?

活性炭は、においの原因となる物質、一部の有機化合物などを細孔へ吸着します。また、化学反応により残留塩素を分解します。除去できる物質や使用可能量は活性炭の種類、量、成形方法、試験条件等によって異なります。

浄水器を使うとミネラルも除去されますか?

一般的な活性炭式や中空糸膜式では、水に溶けたミネラルの多くは通過します。一方、RO膜は溶解成分を幅広く低減するため、ミネラルも低減されます。

PFASは活性炭で除去できますか?

PFOS・PFOAの低減性能を確認した活性炭式浄水器があります。ただし、すべての活性炭式浄水器が対応するわけではありません。対象物質、試験方法、総ろ過水量、交換条件を確認してください。

据置型とアンダーシンク型で浄水の仕組みは違いますか?

本体の設置場所や水の通り方は異なりますが、実際に水を処理する仕組みは搭載フィルターによって決まります。同じフィルター構造を採用していれば、設置方式が違っても基本的な除去原理は共通です。

浄水器のフィルターはなぜ交換が必要ですか?

活性炭の吸着容量には限りがあり、ろ過層にも汚れが蓄積します。交換時期を過ぎると流量や除去性能に影響する可能性があるため、メーカーが定める使用量または期間を目安に交換してください。

浄水器は水道水を飲み水にできますか?

日本の水道水は飲用可能ですが、浄水器は残留塩素や対象物質を低減し、味やにおいを改善する目的でも使用されています。

中空糸膜を使っていない浄水器は、微粒子の除去に弱いですか?

必ずしもそうではありません。中空糸膜は微粒子の物理ろ過を得意とする方式ですが、微粒子の除去性能は中空糸膜の有無だけでは決まりません。圧縮成形活性炭やマイクロろ過層など、別の構造で微粒子を捕捉する製品もあります。浄水器を比較するときは、ろ材の名称だけでなく、製品ごとのフィルター構造や粒子除去試験の結果を確認することが重要です。

磨水Ⅳは中空糸膜を使っていないのに微粒子を除去できますか?

はい。磨水Ⅳは中空糸膜を使用していませんが、圧縮固形活性炭やマイクロろ過層などを組み合わせた4層構造のフィルターを採用しています。0.5μmの微粒子について99%以上、クリプトスポリジウム等の原虫について99.95%の低減性能を確認しています。

浄水器についてもっと知りたい方へ

選び方、PFAS、取付方法、性能・認証、使い方など、浄水器に関する記事を目的別にまとめています。

本ページの表記について

  • ・ろ材ごとの説明は一般的な仕組みをまとめたものです。個別の製品の性能につきましては各製品の公式情報をご確認ください。
  • ・PFASにつきましては、主にPFOS・PFOAへの対応を扱っています。すべてのPFASの除去を意味するものではありません。
  • ・除去性能や交換目安は、定められた試験条件・使用条件に基づきます。

執筆・監修:株式会社水生活製作所
水栓・浄水器・シャワーヘッドなどの水まわり製品を開発・製造するメーカーです。

更新日:2026年08月03日
作成日:2026年08月03日